~異国情緒あふれるインテリア〜
大和市大和南
Dr.Msドリームハウス
居間:間接照明とステンドグラス
ドクターMは私にとって生涯忘れることができないお施主様の一人となった。数年前アマチュアオペラ歌手である私の喉の主治医であるドクターMからメールで住まい兼診療所であるビルの改修を依頼された。設計の条件は若く美しい奥様を満足させること。そして住まいは全てLED間接照明で計画をすることであった。予算の上限は設定されなかった。かつて経験がない工事費の上限がないリノベーション計画が始まったのである。当時、ニューヨークのターミナルであるグランドセントラル駅で東芝がLED間接照明の計画を実現した写真が新聞の見開きで紹介されていた。「この駅を見てきてくれ、ついでにニューヨークを満喫してきなさい」とドクターM。そして本当に1週間のニューヨーク視察をプレゼントしてくださった。
初めて訪れるアメリカ、そしてニューヨークは、世界の富が集中する黄金に輝く街であった。世界に名だたる近代建築の巨匠の作品はもちろんすばらしかったが、最も印象に残ったのはビル群のボリュームの大きさと美術館に並ぶ名画の多さであった。
季節は8月であったが気温は20℃程度で湿気もなく過ごしやすく、日没が夜の8時くらいなので朝からたっぷり12時間かけて名建築、名所を貪るように見て廻った7日間であった。
帰国後、黄金に輝く空間を実現すべく、期待に応えようというプレッシャーと戦いながら自らの能力を超えるデザイン密度を昇華させるために、頭は沸騰状態になった。
住まいのインテリアはアレルギーを心配されるご子息のため、漆喰壁を基調とし、大理石、ウォールナットなどの銘木の寄木床、間接照明が映えるモールディングと黄金のスタッコによる反射板、ステンドグラスなどニューヨークの要素をふんだんに取り入れた。銘木を使用した造作家具だけでも一戸建て住宅が楽に完成できるほどのボリュームであった。予算を考慮しない設計監理という夢に酔う業務でもあった。
診療所の3階に有機的なデザインに彩られた比類なき住空間ができあがりました。間接照明、天窓、ステンドグラス、黄金と造形美あふれる天井、銘木の寄木のフロア・造作家具が光と影がおりなす夢の世界を創り出しています。異国情緒あふれる大和のインテリアです。
完成した作品は幸いご夫妻に気に入っていただけたようであった。新国立劇場の賛助会員であるドクターMとは今でも特等席でオペラ鑑賞のお伴をしています。
居間:飾棚を見る